Little Dots / Frank Zappa2016/11/13 07:01

 先日届いたZAPPA師匠のCD聞いた。

 まずは、Petit Wazzoによる1972年のLIVEを収録したLittle Dots。1972年秋、20人に及ぶGrand Wazooツアーを終えた師匠は、メンバーを半分の10人にしたPetit Wazzoによるツアーを米国とカナダで行いました。 
Little Dots / Frank Zappa
 このCDは、10年前に発売された同じバンドのLIVEを収録したImaginary Diseasesの続編のLIVEアルバム。
 メンバーはFZ(conductor, guitar)、Earle Dumler(oboe, saxophone, sarrusophone)、Malcolm McNab(trumpet)、Gary Barone(trumpet, flügelhorn)、Tom Malone(trumpet, trombone, tuba, piccolo, saxophone)、Bruce Fowler(trombone)、Glenn Ferris(trombone)、Tony Duran(slide guitar)、Dave Parlato(bass)、Jim Gordon(drums)の10人に加えて、ドラムスにMaury Bakerさんが1曲だけ参加しています。
Little Dots / Frank Zappa
 このMauryさんが何で参加しているかが、ライナーノーツに書かれてました。1972年11月5日、トランペットのGaryさんとドラムスのJimさんが、コカイン所持で逮捕されちゃったからなんですね。で、オープニングアクトを務めたバンドでドラムを叩いていたMauryさんが、ZAPPA師匠に頼まれたって訳。奇しくも、このCDが、その事件の証拠として後世に残されたってことになりました。Jimさん、Eric Claptonさんの有名な曲、Laylaを演奏しているDerek and the Dominosにも参加されていた方で、ZAPPA師匠のApostrophe(')でもドラムを叩いてます。そして、Jimさん、セッションドラマーとして、この後もさまざまなバンドでドラムを叩いていたのですが、1983年、ドラッグやアルコールの影響で統合失調症になって、実の母親を殺してしまったんですね。で、1984年に16年の懲役で投獄されたのですが、32年たった今も、収監されたままなんだそうです(精神病院に入れられてるって、ことなんでしょうかね)。そうそう、Jimさん、John LennonさんのアルバムIMAGINEIt's So Hardという曲でもドラムを叩いてます(ちなみに、有名なImagineでドラムを叩いているのは、YESのドラマーのAlan Whiteさんですね)。
Little Dots / Frank Zappa
 ライナーノーツに書かれているトランペットのMalcolmさんのコメントによると、ZAPPA師匠の奥様のGailさんが、このCDをすべてのメンバーに送ろうとしたらしいのですが、Jimさんには送ることがかなわなかったらしいです。
Little Dots / Frank Zappa
 ということで、収録曲は5曲。
01. Cosmik Debris
Washington, D.C. 11.11.72 (Show1)
 Apostrophe(')に収録されている曲。この曲がプロトタイプってことなのかな?この曲、ZAPPA師匠が歌っているのですが、微妙に声が高い(若い?)ような気がするのは気のせいか?それにしても、このメンバーだと、ジャズっぽい仕上がりになるんだね。師匠のソロもいつもどおりでカッコいい。

02. Little Dots Part1 / Part2  
Charlotte, NC, 11.4.72
 イントロからフリージャズですな、そして、4分以上にわたるベースソロ。ギターソロに繋がるときのスティールパンは、オーバーダブなんかな?Part 1はベースが主役です。で、続くPart 2は、Tonyさんのスライドギターソロから始まります。約6分ほど続くスライドソロ、カッコいい。続いてトロンボーンソロ、Bruceさんかなぁ。明確なテーマらしきものも無いので、インプロヴィセーションの曲ってことですな。そして、最後は再び師匠のギターソロ。それにしても約20分間だれずに演奏し続けるのが凄い。もしかすると、Part 1と2の間にも演奏が続いてたのかもね。そして最後は、再びフリーっぽくなって終了。
Little Dots / Frank Zappa
03. Rollo Includes: Rollo / The Rollo Interior Area / Rollo Goes Out
Kansas City, MO, 12.2.72
 Rolloってインストルメンタルかと思ってたら、歌詞あったんですね。Apostrophe(')St. Alfonzo's Pancake Breakfastに含まれている部分だけかと思ったら、10分近い曲だったんだ。いまさらだけど師匠の作曲の才能ってすげえなぁ。そして、TonyさんのスライドギターLittle Dotsとは違って、また、疾走感のあるソロでカッコいい、で、何がカッコいいって、その裏で弾いてる師匠のアルペジオを交えたバッキングがカッコいいんだな。
Little Dots / Frank Zappa
04. Kansas City Shuffle
Kansas City, MO, 12.2.72 (Show1)
 シャッフルのリズムに乗った、ソロ回しの曲。最初は、Malcolmさんかな、ご機嫌な感じのトランペットソロ。2番手は師匠ですね、手癖バリバリのファズとワウのギターソロ、これぞ師匠って感じ。もしかすると、何か別の曲の一部かもね。

05. "Columbia, S.C." Part1 / Part2
 Columbia, SC, 11.5.72
 上にも書きましたが、この曲のドラムはJimさんではありません。Jimさんはその頃、牢屋の中だったってことですね。それにしても、Mauryさん、いきなり頼まれてここまで叩けるのも凄いな。頭の部分のスティールパンもMauryさんらしい、助っ人なのに、このフィーチャーされ具合がすごい。この曲も、明確なテーマらしきものはなく、ソロ回しで成り立ってる曲です。トランペット、トロンボーン、サリュソフォーン(このCD聴くまで、この楽器のこと知らなかった)とソロを回して行きます。Part 2に入ると、一転、静かな曲調に変わってギターによるソロが始まります。6分近いソロの後、ホーンによるユニゾンに続いて、今度はTonyさんのスライドギターになります。師匠とTonyさんのギターの対比がいいですね。そして、助っ人さんのドラムソロ。そして、最後は師匠のギターソロで大団円を迎えます。

 それにしても、師匠の作曲の才能は、つくづく凄いと思う一枚でした。さて、いまだ、CDの枚数が足りなかったChicago ’78は届かず...。そうこうしている間に、METAFIVEの新作METAHALFも届いて、聴いてないCDがたまっていく...。