ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち / RUMBLE The Indians Who Rocked The World ― 2020/08/20 07:40
ロックミュージックに如何にネイティブアメリカン(映画では明確にインディアンといってましたけどね)のミュージシャンが多くの影響を残しているかという趣旨のドキュメンタリー。2017年の作品で、製作は自身もアパッチ族をルーツにもつギタリストのスティービー・サラスさん、自分は米国の映画だと思ってたんだけどカナダの映画でした。

アフリカ系アメリカ人の音楽(JAZZやモータウンの音楽)や、イタリア系アメリカ人(ZAPPA師匠、フランク・シナトラさん、フランキー・ヴァリさん、レディー・ガガさん、マドンナさん...)の音楽はなんとなく馴染みがあったというか、認識があったけど、インディアン(本来なら”ネイティブアメリカン”とするところなんだろうけど、映画の中でも”インディアン”といってましたし、”インディアン”であることに誇りを持っているって言ってましたからね、ここでは”インディアン”とします)の音楽がロックミュージックに深く影響を与えてたって認識無かった。
映画の中で紹介されるミュージシャンを見てると、そういわれてみればって感じで、確かにミュージックシーンの転機にインディアンをルーツをする方がたくさんいらしたんですね...。ショーニー族をルーツに持つリンク・レイさんが1958年にリリースした映画のタイトルにもなっている「RUMBLE」という曲、この曲が無かったらレッド・ツェッペリンやザ・フーもパンクもメタルも生まれなかったっていうところから映画は始まります。この曲、自分はこの映画で初めて聴いたんだけど確かにカッコいい。インストゥルメンタルで初めて、若者に影響を与えるってことで放送禁止になったっていう逸話もカッコよすぎますよね。
レイさん以外にも、ボブ・ディランさんがロック路線に転向した頃のバックバンドのザ・バンドのギターのロビー・ロバートソンさん(モーホーク族)とか、ギタリストにとっては神のジミ・ヘンドリックスさん(チェロキー族)とか(この映画を観るまで、自分はジミさんがインディアンをルーツに持つことを知りませんでした)、オジー・オズボーンのバンドのドラマー、ランディ・カスティロさん(イスレタ・プエブロ族/アパッチ族)、ビートルズのメンバーとも競演しているギタリストのジェシ・エド・デイヴィスさん(カイオワ族/コマンチ族)、もちろん製作のサラスさんと多くのインディアンをルーツに持つミュージシャンが紹介されてます。
そのミュージシャンのエピソードも面白いのですが、インディアンの歴史の一端を知ることができました。ざっというと、ヨーロッパから白人が入ってきて住みかを追われ、アフリカ系アメリカ人が連れてこられるまで奴隷として扱われ、土地の権利を主張するからという理由でアフリカ系アメリカ人よりも虐げられてきたこと、そのためアフリカ系アメリカ人と子孫を残していくことでルーツを隠さなければならなかったなんて話が語られていきます。自分も、虐げられてきた歴史はなんとなく知っていましたが、
アフリカ系アメリカ人よりも虐げられるような歴史があったって知らなかった...。そして、これまで、インディアンであることを隠してきたけど、インディアンであることを誇りに感じ、隠さないミュージシャンも出てきたなんて話が語られてました。本当はもっといろいろと深い歴史があるんだろうけどね...。
ということで、音楽好きには面白い内容だし、インディアンの歴史を知るっていう意味でも面白い映画だと思う。
そういえば、ZAPPA師匠のバンド、マザース・オブ・インヴェンションのドラマーのジミー・カール・ブラックさんもインディアンでしたね。We're Only In It For The MoneyのAre You Hung Up? とConcentration Moonで、「Hi, boys & girls, I'm Jimmy Carl Black, and I'm the Indian of the group」って歌ってます。ジミーさんは、インディアンであることを隠してなかったみたいですね。