クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説2017/10/01 07:04

 クマムシ博士こと堀川大樹博士の最新刊を読んだ。
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説
 読み始めて分かったのですが、博士がナショナルジオグラフィックのWEBサイトで連載されていた「クマムシ観察絵日記」をまとめたものに、「クマムシを食べる」話と、「鳥羽水族館での展示の話」と「クマムシと極限環境微生物との闘い」の話が収録されてたんですね。
 ということで、自分は極限環境微生物のエピソード以外は読んだことがある、あるいは知っていたものでした。でも、こうしてまとめて読むと、博士のクマムシ愛が伝わってきます。
 鳥羽水族館のホームページの「飼育日誌」は自分も愛読しているので、この展示のエピソードは知ってました。もちろん、森滝さんのことも知ってましたというか、森滝さんの書き込みってちょっとマニアックで面白いんですよね。なんか、こういう繋がりってちょっと面白いというか好きです。
 
 堀川博士の文章は楽しくて読みやすいです、お勧めの一冊ですね。

散歩する侵略者2017/09/28 07:03

 長澤まさみさんと、松田龍平さんの出演で映画化された小説、もともとは前川知大さんが演出家を務める劇団イキウメの舞台を本にしたもの。
散歩する侵略者
 行方不明になっていた主人公の夫が宇宙人に乗り移られて帰ってくるって話。で、その宇宙人は地球侵略を考えていて(「侵略するよ。宇宙人てそういうもんだろ?」ってセリフがありますからね)地球人を調査するために、あるものを奪っていくって話。
 SFなんだけどね、結構切ない話ですよね。映画はまだ見ていないんだけど、この小説と同じ結末じゃないよねきっと。映画の脚本を書いている黒澤清監督がどのような結末にしているのか、それが自分の考えとどう違うのか、こりゃ、映画見なけりゃって感じですな。それにしても小説の終わり方、作者の戦略にまんまとはまっちゃてるな...。

 舞台でどのように表現されているのかも見てみたいな...って調べたら前売りは予定枚数販売終わってましたな...当日券あるみたいだから見に行ってみようかな。

昆虫こわい2017/09/25 07:03

 やっぱ、生き物好きだなぁ。

 九州大学の丸山宗利先生のご自分が研究されている昆虫の採集記。現代版「ファーブル昆虫記」みたいな感じですね。サバクトビバッタの前野ウルド浩太郎さんの「バッタを倒しにアフリカへ」に引き続いて生き物つながりってことですな。
昆虫こわい
 丸山先生は、アリと共生する好蟻性昆虫のハネカクシの研究をされています。ハネカクシって名前は知っていたのですが、写真を見るのは初めてだったかも。カブトムシなどと同じ甲虫の仲間なのに、姿かたちはアリかハサミムシのよう。しかも、すべて同じルーツではなく、様々な種類のものが別々に同じような形態に変化していったという収斂進化をしているってこと興味深かったですね。有名な収斂進化ってオーストラリアの有袋類(カンガルーとかお腹に袋のある生き物ね)の形態が、オーストラリア以外の地域の生物と同じような形態に進化しているっていうやつです。例えば、フクロオオカミとか、フクロモモンガとか...それ以外にも、モグラの前足と、昆虫のケラの前足が似てるとかですね。あと、アリと共生しているっていうと、アリマキとアリの関係が有名ですが、ハネカクシ以外にハエなどたくさんいるんですね。また、それぞれに研究している学者がいるっていうのも面白かったです。
 丸山先生、ハネカクシ以外にも奇妙な形の角を持ったツノゼミの研究もされてます。ツノゼミ、不思議な生き物ですよね。どう考えてもあの角、意味があるように思えないもんなぁ...。ツノゼミってカメムシ目の昆虫で、セミやヨコバイに近い近い昆虫。姿かたちはセミに似てるのですが、不思議な形の角を持っていて、実物を見てみたい昆虫の一つです。世界に3200種類もいるってのに、日本には16種類しかいないってのも、みてみたい心を揺さぶりますな。
 
 ということで、自分は生き物好きなので(大学で勉強してましたからね)、楽しく読めました。とはいえ、フィールドはね、丸山先生みたいにはできないよなぁ...。だから、切り刻む系の勉強してたんだけどね。

 丸山先生の他の本も読んでみようかな...と。

屍者の帝国2017/08/31 07:05

 「虐殺器官」の伊藤計劃さんの遺作、「屍者の帝国」を読んだ。

 死者をよみがえらせて、軍隊や召使として活用する世界を描いた作品。残念ながら、「The Indifference Engine 」に掲載されている前半のエピローグ部分しか伊藤さんの原稿はなく、伊藤さんのプロットを元に友人の円城塔さんが仕上げた作品。いろんな人が書評で書いているように作風が違うので、自分も伊藤さんの部分はすんなり読めましたが、円城さんの部分は少し読みづらかったですね。とはいえ、面白い作品でした。屍者(この作品ではこう描かれているので、以降はこれで)を蘇らせるといえば、「フランケンシュタイン」が有名ですね、そのフランケンシュタイン博士の技術を使って屍者を軍隊や召使に活用する世界。そして舞台は19世紀、日本で言えば明治時代。実在の小説に登場する人物や実在の人物がたくさん出てきます、「シャーロック・ホームズ」のワトソン博士、「ドラキュラ」のヴァンヘルシング、「カラマーゾフの兄弟」のカラマーゾフ、「進化論」のダーウィンもでてきます、そして、ワトソン博士の所属する機関は、「007」のMI6の設定。そして、英国、ロシア、アフガニスタン、日本、アメリカと世界中を舞台に物語が進行します。
屍者の帝国
 屍者の技術を戦略的に活用しようとする機関と、屍者の技術の本当の意味を知るフランケンシュタイン博士の生み出した最初の怪物「ザ・ワン」をめぐる冒険を描いた作品なのですが、今ひとつ自分には理解できない部分がありました。で、Wikiを読んだんだけど「あれ、そんな話だったっけかな?」って...ということで、もう一回読んでみようかな...。

猫城記2017/07/20 07:04

 中国のSFって、初めて読んだ。

 作者は、中国の老舎さん。ググったら、別にSF作家では無くて、「小説家、劇作家」って書いてあった。確かに、この本も、SFの体だけど、内容的には、阿片戦争当時(1840年頃)の中国を風刺した小説でした。ちなみに、老舎さんは1899年生まれだからその当時のことを体験したわけではありませんよね。
猫城記
 主人公が、飛行機(宇宙船とかロケットじゃないのは何でだろう?)で火星に到着したら、猫人の星だったという話で(猿の惑星みたいですな)、その猫の主食が外国人が持ってきた中毒性のある「迷葉」という葉っぱ。猫人が中国人、外国人が英国人、「迷葉」が阿片てことですね。
 いろんな書評を見たら「ディストピア小説」って書いてあるんで、ググったら「ディストピア」って「ユートピア(理想郷)」の正反対の世界のことなんですね(自分、知らなかった...)で、そう言うだけあって、読み進めると、だんだんいたたまれない気持ちになって、読み終わってもなんか、モヤモヤした感覚の残る小説でした。

 この小説、以前、キティさんのサンリオのサンリオSF文庫で発刊されていたそうです。SF好きの友人が言うには、玄人向けの作品を多く出版していたマニア向けの文庫だったそうで、廃刊後、出版されていない作品もあって、古本流通で1万円の値がつく作品もあるそうです。てことで、Amazonで調べたら、この作品も、3,400円から16,281円までの価格がついてました。ちなみに、この文庫を解説したこんな本もありました。ん~、マニアックだ...。