The Queen of Versailles ― 2014/08/19 07:02
奥様がワイドショーで映画評を見たそうです。米国の大富豪がリーマンショックで転落していく様を描いたドキュメンタリー「クィーン・オブ・ベルサイユ」、新宿武蔵野館に観に行ってきました。
お話は、タイムシェアリゾートビジネスで大富豪になったデヴィッド・シーゲル氏とその奥様のジャッキーさんの生活を追ったドキュメンタリー。で、その二人がベルサイユ宮殿を模した大邸宅を建設するという過程を追った話になるはずだったのですが、2008年9月のリーマンショックで転落していくさまを追うという、まったく違った趣旨になってしまったドキュメンタリーです。細かい話は、映画評をググってもらうとして、自分が見た感想を...

最初は、金持ちのちょっと一般人と違う生活を追うという、ただの興味本位のドキュメンタリーかと思ってみていたのですが、実は、リーマンショックで露呈した金融ビジネスの危うさと、家族の絆を描いた良質のドキュメンタリーでした。
タイムシェアリゾートビジネスとは、所得が4万~5万ドルの中産階級が共同出資の形でリゾートホテル(マンション)を購入するというもの(日本にもオーナーホテルなるものがありますね)。これがサブプライムローンのような旧宅ローンに支えられえていて、リーマンショックによってこの仕組みが崩壊し、資産数千億円の富豪のビジネスにも影響を与えたというものなんですね。で、銀行はこのビジネスを支えている仕組みが崩壊した途端に、そもそも、自分たちが作った仕組みにもかかわらず企業への融資をストップし、あまつさえその融資の担保に企業をのっとるかのような方針に打って出る...どこかの国で聞いたような話ですね。奥様のジャッキーさんの友人のエピソードや、インタビューの端々にそんな金融の仕組みへの批判が盛り込まれてました。
一方で、その富豪の奥様が、ただの整形美人かと思いきや、過去IBMでエンジニアをしていたというだけあって、夫を支えるために奔走したり、やめさせなければならなかった従業員のために職場を作ろうとする場面があったり、資金繰りに奔走するシーゲル氏を和ませるために内緒で誕生会を開いたりと、実はとても人間味あふれるところが描かれていて、この映画、大富豪の生活と転落を面白おかしく描いていると思われがちですが、実は家族愛を描いた映画でもあったんですね。
ちなみに、このシーゲル氏、現在ではホテルを経営し、アリーナ・フットボールなる、フットサルのような屋内(アリーナ)で行うアメリカン・フットボールのプロ・リーグのチームのオーナーでもあるんですね。まぁ、金持ちは、タダ転ばないってことなんでしょうね。ちなみに、この映画のおかげでアリーナ・フットボールの存在知りました、こういうのも出会いって言うんですかね。
最初は奥様の話を聞いて、興味本位で見に行ったのですが、良質なドキュメンタリーで面白かったですね。公開直後で、お休みということもあるのでしょうが、立ち見が出るほど、たくさんのお客さんでした、お奨めの映画です。
ロビーには、こんなフォトスポットもあって、しっかり写真を撮ってきました。

久しぶりの新宿。

新宿の歩行者天国を歩くのは、もしかすると20年ぶりくらいかも...。