ニョロニョロの館2020/09/19 07:24

 前から行こうと思っていたのに、なかなか行けてなかった目黒寄生虫館に行ってきた。
ニョロニョロの館
 そもそも、学生の頃に生物を専攻していたこともあって寄生虫とか嫌いではない...いや、むしろ好きかな。
 ここ、目黒寄生虫館は、世界でひとつの寄生虫専門の博物館、寄生虫学者の亀谷了博士が1953年に私費を投じて設立された施設で、現在もここで寄生虫の研究を継続しています。
ニョロニョロの館
 1階の展示はこんな感じ、中央にたくさんの標本が展示されています。
ニョロニョロの館
 1階では寄生虫の基本の紹介と標本の展示がされています。まずは、人の寄生虫。人の各所にどんな寄生虫がいるかっていう展示ですね。左の上から反時計回りに、小腸に寄生する回虫、肺や肝臓に寄生する吸虫、大腸に寄生する鞭虫蟯虫、小腸に寄生する無鉤条虫、そして有鉤条虫、胃や十二指腸に寄生する鉤虫に住血吸虫、皮膚に寄生するノミシラミ(皮膚に吸い付くノミ、ダニ、ヒルなんかも寄生虫に分類されてました)、サナダムシで有名な日本海裂頭条虫の標本。こういう展示、自分は好き、分かりやすいもんね。
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 上の展示の横には寄生虫の基本(寄生虫とは何ぞやとか生活環などですね)をパネルで展示、その横では、寄生虫の多様性について系統樹で説明。アメーバから節足動物までありとあらゆる動物種に寄生虫が存在するっていう説明なんだけど、確かにいろんな生き物がいる。ある意味、ウイルスや細菌も寄生する生き物だよね...特にウイルスは宿主に寄生しないと増殖も出来ないもんね。タイノエとグゾクムシの例で、寄生しない生き方を選んだものと寄生する生き方を選んだものの比較も面白かった。
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 寄生虫の多様性の説明の標本。
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 本来なら気持ち悪いって思われちゃう生き物達だけど、これだけそろうと逆に面白いと思う。
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 チョウモドキ(右)は、うちの金魚にも寄生してたな...。
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 あと、マダニの吸血前後の標本はインパクトあったなぁ...。
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 魚の寄生虫の説明。金魚から海水魚まで魚を飼育しているものにとっては身近な話題ですね。まぁ、上のチョウモドキくらいしか実際に確保?したこと無いけど、お腹の中まで見たこと無いから、お腹の中には潜んでいたかもね...。
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 2階には人体に関わる寄生虫の紹介がされていました。
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 最初は、人に寄生する寄生虫として回虫や蟯虫、条虫などが標本とパネルで紹介されてました。自分の子供の頃は、毎年、蟯虫検査でお尻にテープを貼ってたけど、最近なくなったらしいですね。条虫も昔はモデルさんがボディラインを維持するため(痩せるためってことね)にわざわざ寄生させてたなんで話もありましたね...。
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 続いて、人にも獣にも寄生する吸虫の説明。昔、淡水の巻貝が危ないってよく言われました。あと、豚肉には火をよく通せってね。
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 同じく、人にも獣にも寄生する寄生虫の説明、最近脚光をあびているアニサキスとか広東住血線虫とかですね。
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 これも人にも獣にも寄生する寄生虫の説明、キツネに寄生するエキノコックスとかです。
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 日本海裂頭条虫の標本。実際に患者さんのお尻から出てきたものだそうです。長さ8.8mあるそうなんだけど、こんなのがお腹の中にいたらなぁ...。ところで、自分は
頭がもっと大きいと勝手に思い込んでいたのですが、思った以上に小さかった。真ん中の矢印の下が頭ですからね。
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 昔は今みたいにデジタルで画像や動画を保存したり出来なかったので、研究や勉強、また啓蒙のために下のような拡大模型を作っていたそうです。デジタル技術の進歩で廃棄されてしまったものも多くあったそうですが、最近になってまた見直されているそうです。ちなみに、自分はこういうの大好きです。
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 寄生虫学の歴史のコーナー。日本の寄生虫学の先駆者の山口左仲博士の研究資料が中心になっています。
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 これは、山口先生が使用していた自作の図鑑(虎の巻)、寄生虫の形態を残すために画家を雇って描いてもらっていたそうで、この虎の巻は、様々な資料を模写等をしてまとめたものなんだそうです。これをアナログで作成するの大変だったと思います。
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 これも、山口先生の寄生虫の絵。これも画家に描いてもらっていたそうです。
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 この緻密さ、凄すぎます。自分達が学生の頃はシャープペンがあったので、細かい図を描くのもそれほど苦ではありませんでしたが(といっても、点描で描くの大変ですけどね)、当時は筆ですからね。細かいところを描くために毛を1本がけ残したものなどを使っていたそうです。
 それにしても凄すぎ。
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 特別展示はアニサキスでした。最近、話題になったということもあって、なぜ、近年増えたかということを寄生虫館も協力して調べているそうです。今、現在も調査継続中なんだそうですが、気象の変化による黒潮の流れの変化が関係しているのではないかと考えられているそうです。
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 アニサキスの生活環。終宿主のクジラから卵がオキアミへ、そのオキアミをエサとするカツオやイカに幼虫が寄生して、またクジラの体内へという生活環を持っているそうです。ちなみに、アニサキスでおなかが痛くなるのは、アニサキスが胃の壁に噛み付いているからではなく、アレルギー反応なんだそうです。
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 階段に飾ってあった装飾。アートしてます。
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 ということで、小一時間の滞在でしたが、楽しいひと時でした。また、時間のあるときに見に行きたいと思います。