半世紀前なんだよな... ― 2024/03/13 07:46
先日、入手したサディスティックスのアルバムを聴いていて、急にこのアルバムを聴きたくなって、CDのストックから引っ張り出してきた(CD、表に置いておけなくなって、衣装ケースに入れて押し入れに入れてあるんだよね...)。
サディスティック・ミカ・バンドのセカンドアルバム「黒船」。リリースされたのが1974年11月、録音が2月から3月とのことなので、半世紀前に作られたアルバムってことなんだよね。ちなみに、自分がLPを買ったのは、高校生のころで、YMOがもう活動し始めてたからリリースされてから4年後くらいかな。実は、このアルバムがリリースされたとき、自分は、レコード屋にビートルズのシー・ラブズ・ユーのシングルを買いに行ってて(日曜日の朝に放送されていた「TVジョッキー日曜大行進」って番組のスポンサーのEDWINさんのCMの曲がシー・ラブズ・ユーだったんだよね、で、そのレコードを買いに行ったってわけ、ちなみに、その時シングルの在庫が無くて、なぜか、ドイツ語版(ドイツがだからSIE LIEBT DICHね)のシングルレコードのサイズで4曲入っているEPを買ったんだよね...あのEP、まだ実家にあるかなぁ...)、レコードを探して店の中を歩いていた時にこのアルバムを見つけて(ちょうどリリースされたばかりのころで、かなり強力にプロモーションされてたんだよね)、なんかカッコいいなって子供心に思ってた記憶があるんだよね。まさか、その数年後にLPを買うことになるとはね...で、コピーしてバンドで演奏するなんて思ってもみなかったですね。

ということで、このアルバムとにかくカッコいいのよ。1974年当時っていうと、オリコンの邦楽の年間トップ5で1位が殿さまキングスさんの「なみだの操」、2位が小坂明子さんの「あなた」、3位が中条きよしさんの「うそ」、4位が中村雅俊さんの「ふれあい」、5位がフィンガー5さんの「恋のダイヤル6700」ってころ、当時リリースされてた洋楽では、ストーンズのイッツ・オンリー・ロックンロール、ジョン・レノンの心の壁、愛の橋、ポール・マッカートニー&ウイングスのバンド・オン・ザ・ラン、ディープ・パープルの紫の炎、クイーンのクイーンIIにシアー・ハート・アタックとか有名どころとも渡り合えるようなアルバムを作ってたのってすごいと思うんだよね。
もちろん、プロデューサーがプロコル・ハルム、ピンク・フロイド、ロキシー・ミュージック、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョンと有名どころを手掛けたクリス・トーマスさんを迎えたってのが大きいとは思うけど、やっぱり、リーダーの加藤和彦さんの才能に、高橋幸宏さん、高中正義さん、小原礼さん、今井裕さんら若いメンバーの高い演奏力の賜物だと思うんだよね。ちなみに、当時、幸宏さんが22歳、高中さんが21歳、小原さんが23歳、今井さんが25歳、リーダーの加藤さんだって27歳ですからね、いや、マジ、演奏もそうだけど曲のアイデアとかもうエグすぎ。

収録されているのは12曲、といっても黒船のように3曲で組曲になっている曲や、よろしく どうぞみたいにジングルみたいな曲もあるけどね。
01 墨絵の国
エレピのアルペジオで静かに始まって黒船の時代にいざなうって感じかな。エレピのバッキングもいいんだけど、ベースの音がいいんだよね。小原さんのシンプルだけどツボを押さえたベースがカッコいい。加藤さんのボーカルに絡む幸宏さんの詩の朗読もカッコいい。左右で違うタイミングで、かつ、トーンや微妙なニュアンスが違っていていいんだよね。幸宏さんの声も味があっていいと思う。
エレピのアルペジオで静かに始まって黒船の時代にいざなうって感じかな。エレピのバッキングもいいんだけど、ベースの音がいいんだよね。小原さんのシンプルだけどツボを押さえたベースがカッコいい。加藤さんのボーカルに絡む幸宏さんの詩の朗読もカッコいい。左右で違うタイミングで、かつ、トーンや微妙なニュアンスが違っていていいんだよね。幸宏さんの声も味があっていいと思う。
02 何かが海をやってくる
1曲目とつながって始まるインストゥルメンタル。この曲も小原さんのベースがいい味出してるんだよね。ロンドンライブの後藤次利さんのチョッパー(ここはスラップじゃなくて、あえてのチョッパーね)で始まるパターンもいいんだけど小原さんのシンプルながらも図太いベースのフレーズがカッコいい。で、幸宏さんのタイトなドラムもカッコいい、この曲にはこれしかないって感じだもんね。そして、今井さんのエレピが全体を包み込みながら、高中さんがギターを弾きまくる...いや、マジカッコよすぎでしょ。
03 タイムマシンにおねがい
サディスティック・ミカ・バンドといえばこの曲ってくらい代表的な曲。ブギのリズムのシンプルな曲なんだけどね、なんかカッコいいよね。松山猛さんのぶっ飛んだ歌詞もいいけど、やっぱり、ミカさんのボーカルだよね。決して上手くない(そりゃそうだよね、そもそも、加藤さんの追っかけだからね)のに、この味のある声、この曲にはこの声じゃないとね。木村カエラさんのバージョンもあるけど、木村さんだと上手すぎるからね、この曲にはこの声なのよ。

04 黒船(嘉永六年六月二日)
前の曲がぶっつり終わって、幸宏さんのドラムで始まるんだけど、このイントロがまたカッコいいんだよね。この曲は幸宏さんのドラムと、小原さんのベースのユニゾンがカッコよすぎる。もちろん、高中さんのギターに今井さんのエレピもカッコいいんだけどね、やっぱり幸宏さんと、小原さんのコンビがカッコいい。
05 黒船(嘉永六年六月三日)
こういうコラージュっぽい短い曲を挟んでくるアイデア凄いよね。しかも演奏もカッコいいと来てる。ロンドンライブのバージョンもいいけど、オリジナルもカッコいいよ。ちなみに、ブルース・リーさんみたいな声は小原さんとのこと、当時、ブルース・リー流行ってたもんね(いや、流行ってたなんてもんじゃないな)。曲終わりのノイズを最初聴いたとき、レコードに傷があるのかと思ったんだけど、これもね、アイデアだからね。
06 黒船(嘉永六年六月四日)
高中さんのライブで必ず演奏されるバラード。これもね、いいよね。高中さん弾きまくりだもんね。この組曲、1曲目から3曲目までのドラマ感、凄すぎだよね。

07 よろしく どうぞ
この曲からがレコードでいうとB面、黒船からのギャップが凄すぎる...。次のどんたくに繋がるジングルみたいな短い曲。サックスは今井さん、で、チンドン屋のライブ感が出るように屋外で録音したらしい。
08 どんたく
底抜けに明るい曲、松山さんの歌詞も明るいというかノーテンキだもんね。イントロから歌が始まる前のブレイクで聞こえるノイズ、ジーンズのジッパーの音だったんですね...このアイデア凄すぎる。加藤さんのボーカルも回転数をあげてちょっと加工されてるよね、これもこの曲のノーテンキな感じを醸し出してるよね。で、小原さんの「お祭り騒ぎ」のコーラスがカッコいいのだ。高中さんのワウワウギターのソロ(オブリガートかな)もカッコいい。
09 四季頌歌
一転スローテンポの曲、加藤さんのボーカルも味があるね。歌詞がシンプルな分、歌のないインスト部分の演奏がめっちゃカッコいいいんだよね。この曲の高中さんのソロもカッコいいのだ。エンディングもいいんだよね...ちなみに、この曲はプログレだな。

10 塀までひとっとび
この曲、元々は収録される予定じゃなくて、日比谷の野音のライブでの演奏をプロデューサーのクリスさんが観て収録を決めたらしい。ちなみに、自分はこの曲大好き。ロンドンライブでは英語詞でも歌われてるよね。SUKI SUKI SUKIってタイトルもついてるからね。ちなみに、作詞はドラマーの林立夫さん、作曲は小原さんです。いや、ファンキーでマジカッコいいロックですわ。
11 颱風歌
このアルバムの中で一番ロックしてる曲だと思う、カッコいいの一言ですね。この曲、作詞が松山さんで、作曲に加藤さんで、小原さんも作曲に参加しているので、小原さんこういうロックな曲、好きなんだなきっと。加藤さんと一緒に歌ってるのも小原さんだよね。
12 さようなら
アルバムの最後を飾る曲、とってもはかない感じの曲。ピンク・フロイドのWish You Were Hereのサウンドに繋がる曲だと思う。ていうか、まぁ、プロデューサーがクリスさんだからな。

オフィシャルで公開されている曲はないけど、YOUTUBEで検索するとたくさん出てくるので聴いてみてね、というか、音源を入手してもらいたいなぁ...。あと、このアルバムのディレクターの新田さんのインタビューがここで読めるので読んでみてね。
なんて、このブログを書くのでいろいろ調べていたら、今年の5月に加藤和彦さんの「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」ってドキュメンタリー映画が公開されるんですね。ちなみに、発起人は幸宏さんだとか、ん~、感慨深いです。映画、観に行かないとな。