我が家の小さな海

　秩父宮に行ってきた。

 やっぱり、パナソニックと東芝の試合はレベルが違う。まさか、あんな結末になるなんて思いもよりませんでした。

　前月のリーグ戦でも試合終了間際に東芝が追いつき同点。今回も、ステイン選手のゴールキックが決まっていれば、東芝が1点差で6シーズンぶりの優勝だったのですが、ユーミンの「ノーサイド」と同じく、無常にもボールはゴールをそれて、パナソニックが1点差で三連覇を決めました。

　カフイ選手がパナソニックゴール前でキックを蹴ったときは、何で蹴っちゃうの～って思ったけど、楕円球のバウンドはどう転ぶか分からない、あの時、ボールが思いもよらぬバウンドをしなければ、また、堀江選手が砂場のようなピッチに足をとられていなければ、最後の豊島選手のトライも生まれなかったかもしれません。とはいえ、あの時にキックを選択できる東芝っていうチームが凄いと思います。あの場面で、自分のキックに反応できる選手がいるという信頼と自信がなければ、あのプレーの選択はなかったと思います。

　対する、パナソニックもすばらしい。攻めれば、ボールを動かす選手の動きに全員がすばやく対応する、チームとしてやるべきことはもちろんのこと、誰がどう動くかを理解している。そして、個々のゲームに対する理解度も高い、とにかく、チームが塊として動いていました。

　守っても驚くほど規律が高い、反則がとにかく少ない。この試合、東芝が6に対し、パナソニックは3。いや、「３」ってなによって感じ。反則が少ないからゲームがほとんど途切れない。それなのに、両チームとも足が止まらない。両チームとも凄いチームですな。

　パナソニックは、パーカー選手の正確なゴールキック、JP･ピーターセン選手のプレーが目立ってましたね。ピーターセン選手は、南アフリカ代表としてさすがのプレーでした。来季もその雄姿を見たかったのですが、トップリーグ終了後は、シャークスの一員としてスーパーラグビーに、スーパーラグビーの後は、イングランドのタイガースに参加することが決まっているため、トップリーグの試合で彼を見るのはこれが最後になります。とにかく、アタック、ディフェンスともに目立ってました。田中選手が大きくゲインして、堀江選手、ピーターセン選手とボールが渡ってトライを決めたのも、チームのために献身的にフォローしていたから取れたトライでした。同じ南アフリカ代表だったステイン選手とのマッチアップも凄かった、二人とも一歩も引かない感じでしたからね。

　フォワードも両チームともすばらしい。スクラムも教科書通りで、組みなおしもほとんどない。下の写真のスクラムもいいスクラムです。

　ルースプレイでの駆け引きも面白かったですね。東芝の選手はタックルでホールディングしてラックにせず、モールアンプレイアブル（モールから攻撃側がボールを出せない状態になった場合、守備側のボールのスクラムで再開になる反則）にしてボールを獲得したり（最後のトライにつながったスクラムを獲得したのもこのプレーからでしたね）、一方、パナソニックはモールに無理に入らず、相手側のオブストラクションやアクシデンタルオフサイドの反則を誘ったりと他のチームの試合とは一味違ったプレーを見せてくれました。

　最後のゴールキックははずしてしまいましたが、東芝のステイン選手は距離のあるキックで、何度もチームのピンチを救ってました。そうそう、東芝といえば、JAPANのリーチ選手ですね、何度も縦に力強い突進で大きなゲインをしてました。あと、ニコラス・クラスカ選手もいいですね、今季の頭からキレのある走りをみせていたので注目していたのですが、この日も交替出場してまもなくキレのあるランでトライをあげてました。

　パナソニックは、誰かものすごく目立っていたというより、先に書いたように塊としてチームがひとつの生き物のように機能していたと思います。それにしても、戦術的な入れ替えをしないのかと思いました。後半終了5分前に3人入れ替えただけですからね。トーナメントの決勝戦なのに、来季に向けてのテストをしているかのようでした。そういえば、前回の試合で、プロップに稲垣選手が東芝相手に自分のプレーをテストしていたってインタビューで答えていましたからね、とにかく、次元の違うチームであることは確かだと思います。

　27対26、1点差ですし、相手のミスで拾ったといってもおかしくありませんが勝ちは勝ち。パナソニック凄いの一言です。来週の帝京大学との日本選手権も楽しみです。

　当たり前だけど、うれしそうですね。きついことをやっていたはずなのに、さらっとしている、これもパナソニックの凄いところだと思います。

　神戸製鋼とヤマハ発動機の試合も面白かったんですよ。でも、決勝に比べるとやっぱり見劣りするというか、決勝が凄すぎました。

　この2チームのスクラムもきれいでしたね。そういえば、この2チームのスクラムも組み直しが少なかったです。

　それにしてもいっぱいの人だ、北スタンドの立ち見席もいっぱいです。バックスタンドと北スタンドを結ぶブリッジにも、メインスタンドの最上段にも立ち見の人がいて、こんなに客が入った秩父宮を見るのは、オールブラックスの試合以来だと思います。ちなみに、この試合は22,377人、決勝は24,557人が公式発表の入場者数でした。

　神戸製鋼は、フッカーの木津選手、センターのウイング選手の二人のJAPAN戦士、キャプテンの橋本選手、フォワードの要のベッカー選手、バックスの要のフレイザー選手、昨季の新人賞の山下楽平選手などの主力を怪我で欠いてのこの試合、ヤマハ相手によくファイトしていたと思います。

　ヤマハは、JAPANのマレ・サウ選手を核にバックスでいいアタックをしていましたね。彼がボールを持つことによって、ラインが前に出る場面が何度もありました。

　一方、神戸製鋼は、主力を欠く中で、逆にアピールしていたのは、山中選手、しなやかなランと、正確なキックでチャンスを何度も作っていました。彼の動きに周りが的確に反応できるようなチームになると神戸製鋼も、確実に優勝を狙えるチームになるんじゃないかなぁ。

　26対22、ヤマハは後半、息切れした神戸製鋼にしっかりつけ入って逆転勝利しました。今季のシーズンでは対戦のなかった、パナソニックとヤマハ、戦ったらどんな試合になるのか見てみたいですね。　

　お約束というか、五郎丸選手のプレースキック。ちなみに、自分は、このトーナメントのMVPを取ったパナソニックのパーカー選手のヘッドアップしないプレースキックが好きですね。あっ、ヘッドアップしないといえば、NTTコムの小倉選手のキックもね、自分は好きです。

　正面の青山口側も人、人、人。待機列は、銀座線の外苑前駅まで伸びていたそうです。で、結果、2万人超えの観客数。ワールドカップまでこの人気が持続するように応援もがんばりたいですね。

　サンウルブズのテントで、堀江選手のサイン入りリーフレットが当たった。堀江選手好きな選手なのでものすごくうれしい。来月27日の初戦が待ち遠しいです。

　LIXILさんの手袋もらいました。

　手のひらのディンプルがLIXILのロゴになってるんだけど、これ要るのかな？あっ、でも、来週も寒そうだからうれしいですよ、手袋もらえて。

　さて、来週は日本選手権だぁ。